まるちゃんとアラスカ
「アラスカ パイプライン」


ぐねり のたり。



見渡す限りの深緑の森を、
雪にうもれた山肌を、
地の果てから続く銀色のパイプが、縫うように走る。

アラスカをドライブすると、ちらちらとどこまでも見え隠れする「アラスカ パイプライン」。
気球に乗ったとき、思いがけない位置にパイプラインが見えて、驚いたことがある。

北極海から汲み上げた石油を、アメリカ本土で使うため、
アラスカの大地を横切るパイプを、南北ずどんと通したのだと。

このパイプを作らなければならないほど大量の石油が存在するっていうのも驚き。
このパイプを、この量を、この原野に、この厳寒地に作ってしまうほどの、
人間の欲にも驚き。

カリブーの移動を妨げないように、凍結しないように、地震に耐えるように、ツンドラを傷つけないように、
地に潜らせたり、河を渡らせたり、柱で支えたり、様々な知恵を振り絞ったそうな。

アメリカ本土に住んでいると、アラスカは遠い。
「何もない」寒いところ、としか感じられない。

生きるために広大な土地を必要とする野生動物が住み、
動物を狩ることによって生きる人々が存在し、
素晴らしい自然がある。

アメリカ本土にいると、アラスカはただのだだっぴろい土地に感じられる。
石油や未来の核実験場確保のために、
アラスカを魅力にあふれる宝石のような土地だということを、わざと知らせないでいるのではないか、と思えることがある。

パイプラインを目にするとき、チクリと感じる苦味。
単純に「わあ、すごいなあ」とはしゃげない自分がいる。

パイプライン建設にまつわるお話は、「地球の歩き方」に詳しいので、チャンスがあったら読んでみてください。



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2003/1/9作成