まるちゃんがアラスカで出会った人物 シンシアさん


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私と同い年。
ジョンという2,3才年上の夫がいる。
シンシアさんはテキサスのヒューストン出身で、21才のときに結婚して、アラスカ大学へ車でやってきた。
ジョンさんはテキサスのダラス出身で、シンシアさんが高校のときに知り合った。

私の住んでいるアパート「ウォルシュホール(Walsh Hall)」の4号室で、大学内の夫婦寮のマネージャーをしている。
マネージャーをすると、定期的にレジャー情報を書いたり、住人の出入りがあったとき、壊れていないか汚れていないかなど、部屋の様子をチェックしたり、何ヶ月かに一回、ポットラックパーティという、持ち寄りパーティを企画したりするかわり、部屋代がただで、いくらかの給料ももらえる。

英会話教室

私が入居する10年前から無料英会話教室を開いていて、ロシア人や中国人に英語を教えていたが、私が参加した時には中国人の女性一人しか生徒がいなかった。
96年夏まで生徒は私一人だけだった。
中国人の生徒に料理を食べさせてもらうことも多かったそうだが、鳥の足を食べさせられたときと、魚の目玉を食べさせられそうになったときが強烈な印象を残した。
アメリカ人には珍しく、基本的にいろんなものを食べてみることにしている。

脳の研究と鳥

シンシアさんはアラスカ大学の博士課程の生徒で、鳥の脳みそを薄く切って、薬品をかけ、顕微鏡で見たり電気を流したりして、鳥の活動と脳の活動部位の関係を研究している。

夏になると、クリーマーズフィールドなどへ朝早くでかけ、鳥を捕まえる。

捕まえ方は、木と木の間に薄いネットを張り、ネットの向こう側にカセットを置き、鳥の鳴き声を流しておくと、その声を聞いて飛んでくるので、ネットにからまった鳥を外すのである。
1回に2匹が平均で、崖を上ったり降りたりしながら、ネットを見回るのに、8時間はかかるので、いつもくたくたになるが、体重は一向に減らない。
「おなかがすいてたくさん食べるからでは」というと、「いや違う、それは脂肪が筋肉に変わったからだ」と大まじめに力説した。

シンシアさんは、主にジャンコという、インコの一種を研究対象にしている。

私が鳥の餌箱を手に入れたとき、ヒマワリの種を入れるとよいことや、やってきた小鳥はチカディという名前で、ピーナッツバターが大好物であることや、アパートの前の木立に来た新顔の鳥はウェットウィングド(濡れた羽)という名前であるとか、いろいろ教えてくれた。

6月は産卵の季節なので、メスはおなかに大きな卵を持っていて、腸が卵のせいで端っこに押しやられている。
卵の隣には、次の卵が準備されていて、大きく育った卵が排卵されると、すぐにおなかの真ん中へ動いてきて、あっというまに大きくなる。
卵の殻は、排卵される直前にできるので、捕まえたジャンコの中には、殻なしの卵が入っていることがあり、シンシアさんはその卵を小さな容器に入れて眺めているが、たぶんかえらないと思っている。
黄身と白身のままの卵もあり、いつかそれを焼いて食べてみようかな、とも思っている。

ジョンさんの卒論発表

ジョンさんは、土の中のメタンが、環境によってどのように違うかという研究で博士論文を書いていて、今日その発表があった。
発表の冒頭で、協力者や出資者の紹介と感謝の言葉のスライドに続いて、「シンシアの協力に感謝する」と画面いっぱいのスライドを出してきた。

宗教

シンシアさんはクリスチャンで、毎週日曜日に教会へ行く。
宗派はバプチストだ。
教会では、歌を歌ったり、何か食べたり、説教を聞いたりするそうだ。

ある夏、教会のボランティアで、子供たちとキャンプをしつつ、食べ物を貧しい人に配る仕事をしたことがあった。
トラックでデパートをまわって、賞味期限がきれたり、少し傷んだりして、捨てる直前の野菜などを集めてくる。
少し腐っているような野菜でも、腐った部分を切り落として、調理して、という、なかなか手間のかかる仕事だったが、あるとき、腕や足がかぶれたように赤く痒くなって、なかなかなおらなかったことがあった。
原因は、たぶんセロリだろうということになった。
新鮮なセロリは何ということはないが、腐ったセロリは、何か毒気が発生するらしく、水洗いしたときにセロリの毒水がかかったらしい。
さらに、キャンプはあまり清潔とは言えない環境だったので、頭にシラミが発生してしまった。

アルバイトとして、小さい子供にいろいろ教えたり、大学でティーチングアシスタントをしたり、高校で臨時教師をしたりしたことがある。
高校生は、特に若い女性教師などばかにしているから、いくら怒っても静かにしてくれなかった。
ところが、ジョンさんが教えたときは、怖いからか、みんな静かに聴いていた。

家族

家族はテキサス州に住んでいる。

夏にシンシアさんの両親がアラスカへ遊びに来たとき、友人のカヌーとトラックを借りて、4人で川下りをしたことがあった。
結局7時間かかって、上陸地点までたどりついたが、その間カヌー初体験の両親は、あっちへふらりこっちへふらりするカヌーをもてあまし、カヌーの中で夫婦喧嘩が始まる始末で、とうとうジョンさんとお父さん、シンシアさんとお母さんに組み合わせを変えてようやく心静かに収まった。
短期間の訪問中に激しく活動したのと、夜中の飛行機内であまりよく眠れなかったのとが重なって、両親はテキサスに帰ってからしばらく寝込んでしまった。

シンシアさんにはお姉さんがいる。
シンシアさんが優等生だったのに比べ、お姉さんは勉強ぎらいで、派手好きで、先のことを考えずに行動するので、いつもトラブルに巻き込まれている。
巻き込まれているというよりは、トラブルを起こしていると言った方がいいかもしれない。
普段の行いが行いなだけに、おまわりさんを異常に恐れていて、シンシアが少しでも捕まりそうな運転をすると大騒ぎする。
最近は、なんとかして脱税をしてやろうとたくらんでいるそうだ。

シンシアさんが子供のころから、よく家族でカードゲームをした。
それは、1セント〜1ドルのお金をかけてするポーカーで、小遣い稼ぎにちょうどよかった。

シンシアさんは末っ子なので、両親はいつまでたってもシンシアさんのことをベイビーと思っているのには困っている。

引越し

結婚後、荷物を車に詰めて、テキサスからカナダを通ってアラスカまで約2週間かかって運転してきたが、不思議なことに、アラスカに入ってすぐの山の中に、交差点もないのにポツンと信号機が置いてあって、しかもちゃんと動いていた。
何日か後、アラスカに着いたのはよかったが、住居が決まらず、大学の裏手の森の中で1週間キャンプをして暮らしていたが、蚊がいっぱいで、シャワーもなく、疲れきってしまった。

柔道

テキサスでは、シンシアさんもジョンさんも、柔道を習っていたので、アラスカでも続けている。
ジョンさんはかなり上達したが、試合中に首から落ちて大怪我をしてから、しばらくブランクがあった。
シンシアさんも、大きな相手と試合をしたとき、投げ損なって、つぶされ、気絶したことがある。
柔道は相手を傷つけるというよりは、護身を目的としているので、相手をけったりたたいたりする合気道よりもいいと思っている。
柔道では、日本語をそのまま使っているので、「先生」「始め」「一本」など、少し日本語を覚えた。

護身にはかなり気を配っていて、夜に一人で歩かないといけないときは、鍵を一本一本指の間からハリネズミのように突き出させて鍵の束を持ち、もし襲われても鍵拳を武器にして不意打ちを返して逃げる用意をしている。

料理

新婚旅行で、一食100ドルもする高級レストランで食事をしたとき、それはそれは高級な料理が出てきた。
スープはそれはそれは濃く濃く作られていて、ボーイさんがスープで皿の上に絵を描いたほどだった。

普段料理を作るのはきらいなので、外食がほとんど。
祝日料理も、結婚後はいつも友達に招待されているので、サンクスギビング用ターキーも作ったことがない。
96年の感謝祭は、イスラエル人のマリブさんの家で過ごした。

パイ

シンシアさんとジョンさんは、私にウルフ・ランという喫茶店を紹介してくれた。
シンシアさんのお勧めは、アップルパイ。
ジョンさんのお気に入りはココナッツクリームパイ。
ほとんど毎週通っているそうだ。

好きな俳優

好きな俳優は、スタートレック・ネクストジェネレーションのキャプテン役のハゲ頭のおじさん。
声が素敵だ。
それから、ショーンコネリーもいい。
ディンゼルワシントンも好み。
トムクルーズやキアヌリーブスは年下の弟としか思えず、タイプではない。

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