フェアバンクス日記    5月のアラスカについて

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タンポポ

舗装されていない地面には、足の踏み場もないほどのタンポポが一斉に咲きます。

背の低いものと高いものの二種類あるようですが、どちらも一斉に綿毛になります。

タンポポの絵ある晴れた風の日、一斉に綿毛が飛びはじめ、その様子は満開の桜が散る情景に少し似ています。
桜と違うのは、綿毛は軽いためいつまでも飛び続けることで、一瞬、雪が舞っているのかと錯覚します。

不用意に息をすると、肺の中に入ってきそうなぐらい、たくさんの綿毛があたり一面に舞います。

やがて風がおさまると、今度があちらの隅、こちらの陰、水溜まりの上などに落ち、だんだんと集まって、淡雪が解け残っているように見えます。

雪が解け、日照時間が長くなってくると、茶色の地面に芝生が蘇ってきます。

そして、「爆発日」と呼ばれる一日を境に、一瞬にして新緑が芽吹き、木という木は輝くばかりの眩しい緑でいっぱいになります。

針葉樹は冬の間も葉をつけているので深緑ですが、白樺の木は広葉樹なので、風がそよぐにまかせてシャラシャラと新緑がざわめきます。

ためにためておいた生命力を爆発させ、緑色なのに燃え上がっているかのような樹海が広がり、今にも根っこを引き抜いて走り出しそうです。


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