まるちゃんと記憶の香煙
「透明なカニ」
透明なカニがびっちり並んだ卓上。
戸を叩く日本海からの風ものすさまじく、
浴衣で囲む鍋の湯気はもうもうと。
あま〜い、透明な、あえやかな長い身。
硬い爪をつまみ、刺身ですする。
ああ、美味しい。
至福のひととき。
今度はシャブシャブ。
ふつふつ煮える鍋へ、ぽちゃん。
はっと白む表面、
すかさず引き上げ、ポン酢をちょっぴりなでて。
ぱく。
ああ、美味しい。
いつまでも、いくらでも、しゃぶりつくしたい。
かにの風呂で大口開けて泳ぎたい。
2003/8/28